非正規労働者の処遇改善に向けた学習会の開催~先ずは職場から始めよう!

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 いよいよ4月1日からの同一労働同一賃金の法規定が中小企業も含めた完全施行により、非正規労働者の処遇改善に大きな期待感が高まっています。今こそ、同一労働同一賃金の法規定を踏まえ、職場のパートや有期で働く仲間の労働条件の点検・改善を図ることも労働組合の役割として認識し、組織化を含めた積極的な取り組みが必要です。一方、中小労組においては、同一労働同一賃金による不合理な格差の解消には理解しつつも組合員の処遇改善もままならない労組においては、今春闘においてはコロナ禍も相まって頭を悩ます状況が浮き彫りとなっています。
 こうした状況を踏まえ、5月18日(火)18時30分より、加盟組合における非正規労働者の処遇改善に向けた取り組みを推進すべく、構成組織担当者や単組代表者を対象に、先ずは自らの職場から取り組みを進めていこう!という趣旨のもと学習会を開催しました。
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▲主催者を代表して横山会長から開会あいさつ
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▲進行は玉川副事務局長

 新型コロナウイルス感染症の変異株による全国的な感染拡大の中、連合本部より、長年、非正規労働の課題に取り組まれ、現在は価値観や働き方が多様化する現代の労働市場の課題に対応すべく、労働相談とフェアワーク推進センターの取り組みに尽力されている総合運動推進局長の山根木晴久氏を講師に迎え、リモートでの講演をいただきました。
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▲「非正規労働者の処遇改善に向けた取り組み推進について」
  講師:連合本部 総合運動推進局の山根木局長(オンライン講義)

 今回の学習会のテーマは、単に同一労働同一賃金の法規定の完全施行への対応ではなく、同じ職場・同じ地域でパートや派遣などで働く仲間が抱えている問題を自らに繋がる課題としてとらえ、その改善のために何ができるかを真剣に受け止め、具体的なアクションに繋げていく。そうした取り組みの推進にあります。
 講演では学習会のテーマに対してだと思いますが、冒頭、“労働は商品ではない。一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である。”というILOフィラデルフィア宣言を引用し、労働組合がすべての労働者のために運動することの重要性を改めて訴えられました。そして、第1部ではデータで考えると題し、この間の日本の労働市場における働く環境変化を説明され、第2部として具体的な取り組みとして、労働法を含めた働き方の変化への企業と労働組合の対応について示されました。特に、コロナ禍における労働相談から浮き彫りになった非正規労働の脆弱な雇用環境について説明され、決して対岸の火事ではなく、同じ職場で働く仲間の課題としてとらえ、その改善のために如何に取り組むかという職場から始めよう運動の重要性を説かれました。

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 次に自治労県本部の中山書記次長より、昨年4月からスタートした会計年度任用職員制度への対応と現状についてと題し、制度の内容と公務職場における臨時や非常勤・嘱託といった非正規雇用者の処遇改善が図られたかについて報告をいただきました。
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▲「会計年度任用職員制度への対応について」
 報告:自治労福井県本部 中山書記次長

 報告では、「臨時・非常勤職員の適正な任用と勤務条件を確保するために導入され、全ての自治体で運用されているが、実際には処遇の改善や不安定な任用といった課題は解決されず、自治体によっての運用がバラバラで自治体間での格差が浮き彫りなっている。そして、自治労が全国調査した結果、組織化された会計年度任用職員の処遇や労働条件は組織化されていない自治体に比べ明らかに改善が進んでいる事から、今後の公務職場における人材確保と安定した公共サービスの質の向上のためには、組織化が必要」と説明されました。

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▲非正規労働対策委員会の笹山委員長から本日のまとめと閉会あいさつ
 今回の学習会を通して、単に労働法に改正により職場の課題や労働者の処遇が改善されるものでは決してないことを実感しました。これまでの歴史からもわかる通り、労働組合が賃金や一時金といった処遇に留まらず、自らの職場の働き方や休暇の取り方、福利厚生にわたる全般的な労働条件の整備を積極的な労使交渉によって確立し、社会に広がっていく事で労働法の改善や新たな法整備が進んできました。このことを改めて労働組合の役割として自覚し、コロナ禍において各職場の状況は様々でしょうが、同一労働同一賃金の完全施行を踏まえた労働組合の対応として、同じ職場で働くパートや派遣といった仲間の声を聞くなどの取り組みを先ずは職場から始めましょう!